近年地域ブランディング事業や町おこしといった,地域に人々を誘客するための計画事業の重要性が増しています.
SNSによる地域のプロモーションに代表されるICTの利活用も着目されており,地域内での滞在をより快適にするアプリケーションも数多く提案されています.
しかしながら,地域の来訪者を対象としたアプリケーションは数多く提案されている一方で,地域計画を推進する事業者を支援するためのアプリケーションは見受けられません.
地域計画事業者を支援するアプリケーションには,地域計画事業に貢献するような知見を提供することが要求されます.
地域開発計画の策定においては,地域にどのような人々が訪れているかや,地域がどのような特性を備えているかといった特性を把握し,地域に対する理解を深めることが重要になります.
そこで,本研究では地域内に滞在している人々の特性と,地域の景観の特性,地域の統計情報という3つの側面から地域に対する知見を提供するアプリケーション,CityScouterを開発しました.
CityScouterは景観を撮影することで,撮影された景観の魅力度のスコアを推論し,数値として提示します.
また,写真撮影時の位置情報を参照することで,周辺地域の統計情報,及び検索クエリによって算出された来訪者が潜在的に有する欲求を表示します.
複数の観点から地域に関連した情報を提示することで,地域の特性に対する理解を促し,地域計画事業者に貢献することを目指します.
アプリケーションに搭載されているモデルの性能評価のために,クラウドソーシングによるアノテーションを活用した実験を行い,モデルが景観に対する魅力度を精度良く推定可能であることを示しました.
また,提案アプリケーションのフィージビリティ調査に基づき,CityScouterの地域計画事業に対する貢献可能性を検証しました.
発表論文
久保田 祐輝,安納 爽響,谷口 智美,坂本 隆之,辻本 顕,安田 啓紀,宮崎 光世,石川 貴明,坪内 孝太,下坂 正倫
地域特性理解促進のための画像・検索クエリ・GISデータに基づくデジタルマップアプリケーション
情報処理学会研究報告 第73回UBI合同研究発表会, オンライン開催, 3 2022.