検索クエリや位置情報のデータセットの発展に伴い,訪問者の興味関心が明らかになりつつあります.訪問者の興味関心を分析することで,訪問者に合わせた店舗展開や地域ブランディングなど,幅広い分野への貢献が期待されています.
これまでのプロジェクトでは地域に訪れる人の平均的な特徴を捉えることに成功しました [1].一方で平均的な特徴だけでは,訪問者の傾向を捉え切ることができませんでした.例えばスポーツに少し興味がある訪問者像を捉えたとしても,全て訪問者が少し興味があったと解釈することはできません.実際には訪問者の半分がほとんど興味がなく,残り半分がとても興味があった可能性もあります.このように訪問者の「多様性」に関しては分析が不十分であったと考えられます.
そこで本プロジェクト [2]ではトピックモデルを活用し,その場所に「どのような」人が「どれほど」訪れるのかを明らかにする新たな枠組みを提案しました.トピックモデルとは文書解析のために開発されたモデルであり,文書にはトピックが割り当てられ,そのトピックと文書内の単語が紐づけられているという仮定に基づいて考案されました.本プロジェクトでは文書を地域,単語を訪問者,トピックを訪問者タイプに置き換え,地域の訪問者を複数の訪問者タイプを通して表現することに成功しました.
東京,大阪をはじめとする9都道府県で収集されたデータを用いた実験を通して,多様性を考慮することによる訪問者分析の精度向上を明らかにしました.さらに分析で得た訪問者タイプを用いて,実世界における訪問者の傾向や駅や大学などのPOIの訪問者の内訳についての分析を行いました.
Publications
CityAtmosphere: VR Image to Glimpse Wishes in the Air.
Adjunct Proceedings of the 2019 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (UbiComp 2019) [2] 宮永薫,安納爽響,坪内孝太,西尾信彦,下坂正倫.
トピックモデルと大規模位置履歴を用いた地域ごとの興味関心分布の分析
情報処理学会研究報告 第81回UBI研究発表会, 福岡県 福岡大学, 02 2024.