2023年9月25-26日に,情報処理学会UBI研究会第79回研究発表会が, 長崎大学文教キャンパスおよびオンラインのハイブリッド形態にて開催されます.我々は本研究会にて,以下の論文の発表を行います.
1. 天井設置UWBセンシングによるデバイスフリー屋内行動測位・認識
測位端末を携帯していなくても,屋内環境中全ての人の測位を可能にするデバイスフリー屋内測位は,現在,社会でカメラを使用して実用化されていますが,プライバシーに配慮できてはいません.そのため,水平に設置した送受信機間の人体による電波干渉を利用する手法が多く提案されていますが,家具も通信の経路を邪魔する現実的な屋内環境に簡単に対応することはできません.
そこで,本研究では天井設置UWB (Ultra Wide Band) 機器で取得される床からの反射波を利用したデバイスフリー屋内測位を提案します.天井から地上の人物までに障害物はないため,家具の多い環境でも問題なく動作することが期待されます.
本研究では,天井に一箇所設置したUWB機器で取得されるデータを用いて,地上の人物の状態検知精度,範囲限界を明らかにし,天井設置UWBセンシングの有効性を示しました.
2. 高信頼測位範囲最大化に基づく屋内測位向けBLEビーコンの配置最適化
BLE(Bluetooth Low Energy)を用いた屋内測位ではGPSが正常に働かない部屋内や地下で位置の予測ができ,Wi-Fiと異なりビーコンの設置や移動が容易なことから屋内測位を行う環境に適した配置が可能です.BLEビーコンを用いた屋内測位では測位精度がビーコンの配置に依存しているため,ビーコンの配置を最適化する手法が広く研究されています.
ビーコン配置を最適化する手法として3つのBLEビーコンの電波が届く範囲を最大化する手法があります.しかし,3つのBLEビーコンの電波が届く範囲であれば測位誤差が低いわけではないため,屋内測位に適した配置が得られる訳ではありません.そこで本研究では,測位誤差を評価関数に用いた貪欲探索に基づく最適化手法を提案します.事前の屋内測位のシミュレーションにより得られた測位誤差が低いエリアを高信頼測位範囲と定義し,高信頼測位範囲を最大化する配置を提案します.本研究ではシミュレーションによってBLEビーコンの配置を決定し,得られた配置で屋内測位の精度を既存手法と比較したところ,既存手法より良い測位精度を達成しました.
発表情報(詳細プログラム)
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2023年9月25日(月) 11:25-12:40 セッション2-A: センサ技術と位置測位
論文タイトル:天井設置UWBセンシングによるデバイスフリー屋内行動測位・認識
著者:野村篤史,Han Lin(東京工業大学),坪内孝太(ヤフー株式会社),西尾信彦(立命館大学),下坂正倫(東京工業大学)
2023年9月26日(火) 10:00-11:15 セッション6-A: 測位技術
論文タイトル:高信頼測位範囲最大化に基づく屋内測位向けBLEビーコン配置最適化
著者:大橋弘一郎,野村篤史,下坂正倫(東京工業大学)
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