近年,高精度な屋内測位を実現する有力な一手法である,Wi-Fi fingerprintを用いた屋内測位が盛んに研究されています.
しかし,高精度な測位の実現のためには測位を行う環境中で満遍なく高密なデータを大量に収集する必要があり,このデータ収集の多大なコストは実利用を考えると,大きな問題であります.
本研究では,少量の収集データから,データ取得を行なっていない地点でのデータを生成することにより,まばらなデータ収集のみで高精度な屋内測位を行う新たなデータ拡張手法を提案しました.
我々は,屋内測位において各地点の位置関係,及び,電波強度が物理的に関係性を持つことに着目し,疎に収集したデータから各地点の電波強度推定モデルを構築するで,データを収集していない地点でのデータ生成を可能としました.
この手法では,まず,初めに収集した疎なデータから,深層学習を用いて各Wi-Fi基地局に対する電波マップの作成を行います.
その後,構築した電波マップから対象環境で収集されると想定されるデータを高密かつ十分な量生成し,初めに収集した疎なデータと混合します.
構築されたデータを用いて屋内測位モデルを作成することで,高精度な測位モデルを低コストなデータ収集のみで実現可能としています.
実験により,本データ拡張手法が10%のデータ収集量で,既存の屋内測位手法と同様の精度を達成することが確認されました.
—– Publication —–
M. Sugasaki and M. Shimosaka,
“Robustifying Wi-Fi localization by Between-Location data augmentation,”
IEEE Sensors Journal, doi: 10.1109/JSEN.2021.3106765.