渋滞による損失は社会的問題として認識されており,渋滞の回避や解消,予測をする方法が求められています.高速道路で提供している所要時間情報は,情報提供時点の交通状況が変化しないと仮定した場合の情報であり,渋滞伸縮時の交通状況変化を考慮した情報ではありません.そのため,提供した所要時間と実際に経験する所要時間に乖離が生じることがあり,所要時間の正確な情報提供に大きな需要があります.
高澤ら [1]では,渋滞の抽出や線形鎖固有の空間方向のスライドなどの手法を含む本研究固有のベンチマークを構築し,5種類のニューラルネットワークモデルと2種類の損失関数で実験を行い精度を検証しました.
所要時間を予測するのに交通データは必要不可欠であり,一般的によく用いられる交通データとしては車両感知器によって収集されたものが挙げられます.前述の高澤ら [1]においてもこの車両感知器のデータを用いて各地点の未来の速度を予測し,その速度分布に基づいて積分を行うことによって所要時間を予測しました.
しかしながら実際にはこの車両感知器は約2km間隔で設置されており,渋滞の微細な伸縮を表現するのは難しいです.
そこで,高澤ら [2]ではETC2.0プローブデータを集約することで得られるより細密な交通データを用いた速度分布予測を行い,精度が向上できないか検証しました.
Publications
線形鎖ネットワークからなる高速道路上の車両速度分布予測.
第39回 日本ロボット学会学術講演会 予稿集, オンライン開催, 9 2021. [2] 高澤 寛治, 須ヶ﨑 聖人, 亀岡 弘之, 邢 健, 下坂 正倫.
ETC2.0 プローブデータの深層学習に基づく細密な速度分布予測.
ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2022 in Sapporo 予稿集, 北海道, 札幌市及びオンライン (ハイブリッド形式), 6 2022.