土地勘のない場所でも充実した旅行を行うためには,適切に旅程を組むことが大事になります.
旅程の作成には,主に目的地間の移動時間と目的地での滞在時間を適切に設定する必要があり,確度の高い情報提供が求められます.
しかしながら,提供される滞在時間目安が短すぎたり,長すぎたり,実態に即さないことも多くあるのが現状です.
本研究は,より実態に近い高精度な旅程作成を可能とするため,GPS位置情報履歴を用い,
観光施設における人々の滞在時間傾向のモデリング手法を提案しました.
これまで観光地での滞在時間は旅行経験者からのアンケート等から得られるデータに基づいて研究されてきましたが,
アンケート実施の高コスト性からも,代替となるデータソースを利用した分析が必要とされています.
双線型ポアソン回帰[Shimosaka+@UbiComp’15]によるモデリングによって,
平日・休日,時間帯,天気といったコンテキストに対応した滞在時間目安を提供することを可能とし,
加えてディリクレカーネルを用いた観光施設の営業時間による滞在時間・訪問時間の上下限を表現するモデルを提案しました.
実際のGPS位置情報履歴を用いた大規模な性能評価実験によって,
提案手法が,観光施設における人々の滞在時間を高精度にモデリングできていることを示しました.