近年,表情認識技術は顔認証のみならず,表情にコマンドを割り当てることによるハンズフリーデバイス操作や障害者支援システムなどに利用できるため研究されています.加えて,イヤラブルデバイスが急速に普及し,非常に身近なセンシングデバイスとして研究がされ始めています.
表情認識分野において,現在は,カメラやセンサーを取り付けた専用デバイス[1]による研究が盛んに行われています.これらの研究では,高精度での表情認識を行うことができています.そのため,病院での患者の状態把握や商業施設での顧客の購買意欲の分析などで用いられています.しかし,これらの先行研究では,プライバシー問題やコストの面などで普及における課題が残っており,我々の日常生活で表情認識技術を活用している事例が少ないのが現状です.
そこで,本プロジェクトでは,汎用イヤラブルデバイスであるAirPodsに内蔵されたIMUセンサーを用いて,表情認識を行うことで,表情認識技術がより身近に利用されることを期待しています.特に,表情変化によるハンズフリーデバイス操作の常用化を目的として,5種類の表情を対象にした表情認識手法を提案します.
本プロジェクトでは,汎用イヤラブルデバイスを用いて,複数の被験者から表情変化のデータを収集し,加速度や回転速度のデータを活用し,ユーザー依存性も考慮した実験を行うことで,汎用イヤラブルデバイスでの表情認識の実現可能性を示しました.
— 関連研究 —
[1] T. Chen, B. Steeper, K. Alsheikh, S. Tao, F.Guimbretière, and C. Zhang.
C-Face: Continuously Reconstructing Facial Expressions by Deep Learning Contours of the Face with Ear-mounted Miniature Cameras.
33rd ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST 2020).
— 発表論文 —
[2] 北森迪耶, 坪内孝太, 西尾信彦, 西山勇毅, 下坂正倫.
ハンズフリーのデバイス操作のための汎用イヤラブルデバイスのIMUセンサーを用いた表情認識手法.
情報処理学会研究報告 第80回UBI研究発表会, 兵庫県淡路市, 11 2023.