早期群衆動態予報の高精度化に関する論文が国際雑誌 IEEE Pervasive Computing に再録されました.
都市において大規模なイベントが開催される際,会場の群集密度を早い段階で予報する「早期群集動態予報」の技術は,雑踏警備や人混みを避けたCOVID-19対策の手段として非常に重要です.従来この早期予報のために,平休日や天気などの外的要因や,ユーザの将来の行動予定を考慮した手法が提案されてきました[Konishi+ UbiComp”16; Anno+ SigSpatial’21].
しかしながら,混雑を誘発するようなイベントはそれ自体が非常に稀であり,そういった希少パターンを無理に学習しようとすると,モデルバリアンスの増加につながり予測の不安定さを引き起こします.そこで我々は[Anno+ SigSpatial’21]にて提案した重要度重み付けを,Synthetic Minority Oversampling [Chawla+, Journal Of Artificial Intelligence Research 2002]を用いて発展させた重点的合成サンプリング(Importance-based Synthetic Oversampling)を提案しました.この手法は,モデルバイアスの抑制が理論的に保証された枠組みの中で,混雑パターンを合成的に増やすサンプリングを行い,学習パターンを増やすことでモデルバリアンスの減少を目指す手法です.[Anno+ SigSpatial’21] と同様の性能評価実験を行い,提案手法の混雑化における予測性能の改善を示しています.