都市における活動人口の推移の予測は,都市計画や交通整理,人員配置といった観点から非常に重要です.我々は膨大に蓄積された携帯電話の位置情報を解析することによって,主要駅や観光地周辺の活動人口を天気や曜日といった情報を利用し予測することに取り組みました.
都市動態予測の先行研究によって様々な手法が提案されていますが,簡単なモデルと複雑なモデルとの間にはトレードオフが存在することがわかっています。簡単なモデル表現では安定した結果が得られますが、適応性が不足してしまいます。一方、複雑なモデルでは適応性は高くなりますが、不安定になる場合があります。そのため,これらのトレードオフを解消する方法が求められます.
また、これまでの研究の大部分は、分析において大規模な都市部を選択する傾向があり、きめ細かい都市部の人々の流れを予測することに着目した研究はあまり行われていませんでした.
これらの課題を解決するために、ポアソン回帰の強化され一般化された特徴表現に基づいた多次ポアソン回帰(MOIRE)モデルを提案します。提案手法では,人の流れに大きな影響を与える要因(時刻、曜日、天気、休日情報など)を含む複数の要因の多項式の組み合わせを使用して、機能を表現する実用的な機能エンコードアプローチを設計します。また、マルチタスク学習フレームワークを使用して、さまざまなタスクの空間的制約をMOIREモデルに統合し、細かいメッシュ領域での一般的なパフォーマンスを改善します。
本研究では,スマートフォンのモビリティログから抽出したGPS情報を使用し、大規模なデータセットで実験を行いました。提案手法が既存手法と比較してより良い予測が可能であることを示しました.
さらに,提案手法を用いることで,全国規模かつ高精細な異常検知システムを構築しました.本研究では,2019年 台風15号(ファクサイ・FAXAI)発生時における異常検知結果などを可視化し分析することで,構築したシステムが,大規模災害のような広範囲かつ詳細な異常検知が必要な場面においても有効であることを示しました.
Publications
Masamichi Shimosaka, Kota Tsubouchi, Yanru Chen, Yoshiaki Ishihara, Junichi Sato
MOIRE: Mixed-Order Poisson Regression towards Fine-grained Urban Anomaly Detection at Nationwide Scale
In proceedings of 2020 IEEE International Conference on Big Data, 2020.