都市における活動人口の推移の予測は,都市計画や交通整理,人員配置といった観点から非常に重要な話題であり,
我々は膨大に蓄積された携帯電話の位置情報を解析することによって,主要駅や観光地周辺の活動人口を天気や曜日といった情報を利用し予測してきました[Shimosaka+@UbiComp2015].
都市における人々の活動は,我々が普段感じているように,駅の東西や商店街といった小さなエリアごとに異なる性質を持っています.このため,地域を高精細なメッシュで分割し,それぞれのメッシュでの予測を行うことで,街の性質をより深く理解できることが期待されます.
しかしながら[Shimosaka+@UbiComp2015]のモデルによる予測では,注目地域のみの位置情報を用いた学習を行っていたため,高精細に分割されたメッシュ内のみのデータでは学習に必要なデータ量が確保できない恐れがあります.
同時に,地域の分割によって注目対象とすべき地域数が増え必要なモデル数およびそのパラメータ総数が増加し学習コストが大きくなります.
そこで我々は,各メッシュでのモデルを基本的なモデルの混合によって表現し,地域間でデータを共有しながら学習することで,データ数が不足する問題とパラメータ総数が増加する問題を解決する手法を提案しました[下坂ら@SigUbi60][Hayakawa+@PAKDD2021].また,隣接するメッシュの活動人口の性質は類似していると考えられます.我々は,メッシュ間でのパラメータを共有するモデルにこの仮定を組み込み,より効果的にデータ共有を行い予測性能を向上させるモデルを提案しました[Shimosaka+@AAAI2019].
実際に高精細に分割したメッシュ上での位置情報を用いた実験により,予測性能の向上を確認しました.また追加の実験により,混合モデルによるアプローチ[Hayakawa+@PAKDD2021]が,隣接メッシュ間でのパラメータ共有アプローチ[Shimosaka+@AAAI2019]と比較して優れた予測性能を発揮することを確認しました.
Publications
携帯端末位置履歴を用いた階層ディリクレ混合回帰モデルに基づく活動人口予測.
情報処理学会研究報告 第60回UBI合同研究発表会, 兵庫県淡路市, 12 2018.
Masamichi Shimosaka and Yuta Hayakawa and Kota Tsubouchi
Spatiality Preservable Factored Poisson Regression for Large Scale Fine Grained GPS-based Population Analysis.
In Proceedings of the Thirty-Third AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI-19), Honolulu, Hawaii, USA, February 2019.
Yuta Hayakawa, Kota Tsubouchi, and Masamichi Shimosaka
Simultaneous multiple POI population pattern analysis system with HDP mixture regression,
In Advances in Knowledge Discovery and Data Mining: Proceedings of the 25th Pacific-Asia conference on Advances in Knowledge Discovery and Data Mining (PAKDD-2021), Lecture Notes in Computer Science book series (LNCS), vol. 12712, pp. 791-803, May 2021.